【第一種電気工事士試験】再挑戦(その3)

【複線図】

複線図の描き方を掴む第一歩として、「施工条件」および「結線図」に基づいて描くことを習慣化することが大切であろう。

さらに、条件が変更されたときも慌てずに対処するために、実習の際はいかに煩雑であっても、条件や図を確認する習慣をつけることも考えてみてほしい。

結線図や展開図には、文章の条件に記載されていない指示もあることから、複線図を描く前に特に留意しておくと良いだろう。

現場のプロフェッショナルたちは必ずしも複線図を描かないことも多いかもしれない。
だが、複線図を作成することで電源からの電流をサーキットとして視覚化できるため、初学者にはこれが大変有効であると感じられる。
これによって、配線上のミスを減らすことにもつながるだろう。

〈第二種電気工士資格との関係〉

令和3年度に学科は独学で、実技はポリテクセンター鹿児島に通いつつ取得した経験がある。ポリテクセンターでの訓練で、第二種電気工事士の実技についてはしっかりと習得できた。その結果、「複線図」についてもそれなりに理解が深まったと言えるだろう。

しかし、第一種電気工事士資格は「経験年数」が求められるため、試験に合格したとしてもすぐには資格を得られないことも理解しておくと良い。ただし、試験合格によって得られる合格証書は価値がないわけではなく、認定電気工事従事者認定証を申請し、経験を積む道もあるのだ。

〈必要時間〉

複線図の書き上げに必要な時間は、練習のはじめには10分を超えることもあったが、徐々に10分以内に完成できるようになってきた。

〈フリクションボールペンの使用〉

複線図を書く際、自分の経験上、フリクションボールペン(字を消すことができる)で練習するのが有効であった。フリクション蛍光ペンも活用した。

フリクションペンは擦ることで簡単に消すことができるので、誤記入や修正にとても便利だった。
ただ、公文書への使用は控えるようにされているようだ。

私の場合、電線の色分けにおいては、白(W)にはフリクションボールペンの青色を、黒(B)にはフリクションペンの黒色を使用している。
他の人によっては、白電線にはW、黒電線にはB、赤電線にはRと表記する場合もあるようだ(YouTube動画)。

〈落書き帳〉

私は幼児用のらくがき帳を買って(3冊で百均より安い)、それにフリクションボールペンで書きまくった。
人によってはホワイトボードにマーカーで記入する人もいるようだ。

それぞれ自分にあった方法で工夫してもらえればいいだろう。

〈複線図の工夫について〉

私の経験上、最終的には器具(変圧器、アウトレットボックス、ランプレセプタクル等)と、それらをつなぐ色分けした電線、そして特に「ワタリ線には太い線(作業時にワタリを忘れないようにするため。これにはフリクションボールペンよりも目立つ太めの水性ペンを使用)」、リンクスリーブのサイズ、ケーブル2芯、3芯それぞれにペンでマーク、そして1.6mm、2芯以外のケーブルや電線の名称のみを記入、といったように工夫して進めた。ここら辺は、自分が間違えないように、できるだけ簡易にマークや記入をすれば良いのではないかと思う。

〈令和4年度試験当日の状況〉

試験当日、問題用紙の余白部分に複線図を描くことも可能だが、決して広い空間ではないため、小さく描く練習をしておくことをおすすめする。

今年の問題用紙の裏は完全に空白なので、ここに広く描くことも可能だ。

ただし、条件や結線図の描かれたページとは異なるので、裏の空白部分に描くと、条件を確認するたびにページをめくる必要が出てくる。

試験官からは、問題用紙に複線図を描くことも、作業机に敷かれた厚紙に描くことも許可されていると案内があった。一昨年(令和3年度)に試験に落ちたとき、私はこの厚紙に描いてしまったが、試験後には持ち帰ることも写真に撮ることも許されていなかった。

しかし、問題用紙は持ち帰ることが可能だと後から知った。

試験後に自分の作業を確認したい方は、問題用紙に描くことをおすすめする。

令和4年度受験時の筆者が描いた手書きの複線図

【技能の練習】

〈狭い卓〉

狭い場所での作業に慣れることをおすすめする。

試験会場の卓は比較的狭く、余裕がない。
私が参加した令和2年度の第二種、および令和3年度・4年度の試験は、鹿児島大学の教室で行われ、その机を使用した。

自分の場合、娘の学校の工作用に用意した青い箱(※サイズ )を使って、工具をその箱の外に並べて練習を行った。

筆者が使用していた練習用の箱

〈令和4年度試験時のこと〉

試験当日、後ろの席の方の電線が何度も私の背中に触れていた。

私は最前列で、前の方と干渉することはなかったが、ケーブルを切ったり何かを落とすというハプニングもあった(汗)

〈部品落下や再支給〉

自宅での練習中、ゴムブッシングを落としたことがあった。これが試験日だったらと思うと、ゾッとする。ゴムは跳ねやすく、他人の机や足元に転がってしまう可能性もある。

監督官に助けを求めると、それが別のストレス源になる。

リングスリーブやランプレセプタクルのネジなどは再支給が可能だが、これも時間のロスとなるため、できるだけ再支給を頼まないよう、慎重に取り扱うことが必要であろう。

私自身、第2種技能試験の時にリングスリーブの結線を間違えて再支給を要請したが、要請したものが手元に届くまでには時間がかかった。

〈各問題練習の時間計測〉

各問題練習の時間を計測すると、その記録が役立つはずだ。

特に時間を短縮できた場合は安心感を得られるし、時間が短縮できなかった部分は問題点を特定し、改善の参考にすることができる。

〈輪作り、ランプレセプタクルや露出型コンセントなど〉

欠陥の有無の判定が試験判定に大きく影響する箇所も、不安なら何度でも挑戦することが重要だ。

自分の場合、前回の試験後に十分に練習できずに自信を失った箇所もあったが、各問題をこなすうちに自然とできるようになった。

〈長さ測定 特にケーブル〉

自分の身体の部分を長さの基準として使うのも一つの方法だ。

例えば(これはあくまで私の場合だが)握りこぶしの幅は10cm、小指と親指を両側に開いた状態で20cmなど。
5cmと2cmはケーブルむきによく使用するので、その長さに合わせた指の部分を決めていた。

さらに、各工具の部分もそれぞれ役立つ。
ペンチの横幅、ストリッパーの定規目盛りなどだ。
スケールを30cm切ったものや、15cmの直尺も正確さを求めるならば良い。どちらも100均やDIY店などで数百円で準備することができる。

〈手袋〉

現場のプロや高校生などは、素手で作業する人が多いようだ。

しかし、私自身は手袋(軍手以外)を好んで使用していた。
それも、特別に高価なものではなくても良い。

練習を通じて、人差し指と親指の先が穴が開くほど使用した。

(その4へ続く)

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